パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
 もうすぐお昼だと言うのに、その小さな公園は近所の子供たちなのか小さい子たちで賑わっていた。

 公園までは抱っこをせがんでいた颯麻は、公園に着くや否や「やったー!」と私の腕から降りる。そして、新しくなったというカラフルな遊具に向かって一目散に走っていく。

「わ、ちょっと颯麻待ってよ!」

 と言った私の隣。

「颯麻くん、元気だなー」

 すぐに大輝が、笑いながら颯麻を追いかけ始めた。

 私もすぐに二人を追いかける。
 見たところ、遊具には階段が無い。代わりに、ボルタリングの壁のような突起がついた坂がついていた。

「しゅー、やる!」

 大輝はそう言う颯麻の両脇を軽々と抱き上げて、遊具の上に持ち上げる。

「ちょっと待ってな」

 そう言うと、自分も颯麻と同じように遊具の上に身軽に登る。

「よし、しゅーするか!」

 大輝はすでに颯麻語を習得したらしい。
 滑り台の上で、颯麻を膝に乗せるとそのまま二人でしゅーっと降りてきた。

「おかえり」

 滑り台の下で待っていた私。笑顔の二人にそう言うと、「おかーり!」と颯麻が言う。

「ただいま、だろ!」

 颯麻を抱きかかえたまま、大輝が颯麻にツッコむ。ケラケラ笑ながら、颯麻が「ただーま!」と言う。

 そんな二人の髪の毛が、静電気でふわっと上がっていて思わずふふっと笑ってしまった。
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