元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜
「ママとパパ? ごめんなさい、私があっち見てたから――」

 女の子が大輝に向かって言う。
 すると、「すみませーん!」と慌てた声が飛んでくる。走ってきたのは、初老の女性だ。

「ばあば! あのね、私、この子とぶつかっちゃった……」

 言いながら、女の子は泣き出してしまう。
 すると大輝は立ち上がった。

「ちゃんとすぐに謝れる、とても素直な子ですね」

 女性に向かって、二カッとお日さまみたいな笑みを向ける。

 そんな大輝を見ていると、自分の子供のことで精一杯な私はまだまだだな、と思う。

「颯麻、いたいいたいある?」

「だーじょーぶ!」

 腕の中の颯麻はそう言うと、すぐに「まだあそぶー」とおろせおろせアピールを始めたのだった。
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