元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜
「あ、元カノさん!」

 大輝は「言い方、言い方」と小声で橋本さんをバシッと叩く。
 それを、「いいよ」と制して。

「――私、シングルマザーなんです。だから、大輝のこと浮気だとか既婚者狙ってるとか、そんなふうに言わないで欲しくて」

 私が言えば、きっと大輝はこのことでイジられなくなるよね。
 素直に、そういう気持ちだった。

 なのに。

 突然、ぐっと腰を引かれた。
 その反動で、抱っこしていた颯麻がぐいっと身体をねじる。面白かったのか、キャッキャと笑っている。

 けれど、大輝の腕が私の腰にしっかりと回って、それで私の心臓は先ほどの2倍も3倍も早くなる。

「で、俺が今アタック中なの」

「え!?」

 堂々と宣言した大輝に、私はそんな声を漏らしてしまった。
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