パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
「でも、嬉しい。梓桜のチョコ、13年ぶり」

 大輝はそうへへっと笑うと、「食っていい?」と包を開く。

 大輝に渡したチョコは、消防車の型をつかったもの。
 大輝は、街を守る消防士さんだから。

 大輝はそんなチョコレートの粒を真剣な顔で眺めている。
 ちょっと子供っぽかったかな。

「ごめん、颯麻にあげるわけじゃないのに――」

「いや、梓桜らしいなって思って」

「そう?」

 それは、子供っぽいということだろうか。
 それとも、颯麻の母らしいということだろうか。

 どちらかだろうと、思ったのに。

「こういう可愛いことすんの、梓桜だよなあって」

 満面の笑みで爽やかにそう言われて、思わず赤面してしまった。
 ――どうしようもない、胸の高鳴りと共に。
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