元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜

19 抗う気持ちと戦うココロ

 実家のリビングに、元旦那が座っている。
 結婚の挨拶以来かもしれない。
 あの時は、元旦那は私の隣に座っていた。そして、その向かいに両親が座っていた。

 けれど今、私の隣にいるのは、ミニカーで遊ぶ颯麻。
 そして、目の前に元旦那が一人。

 足の悪い父はダイニングチェアに座っている。
 母がお茶を淹れて、私と元旦那それぞれの前に置いてくれた。
 そして父の前の席に座り、こちらに視線を向けている。

「話したいことって――」

 妙な沈黙に耐え切れず、私が話の口火を切った。

「ごめんなさい!」

 言いながら、旦那はすぐに頭を深く下げてきた。

 何のことか分からず、一瞬動揺する。
 けれど、きっと養育費と慰謝料を先延ばしにしていることだろうと、すぐに思い至った。

「メッセージ見たよ。遅れるって。分かってるから大丈――」

 言いかけた私の言葉を、元旦那は遮った。

「やっぱり俺には梓桜がいないとダメなんだ!」
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