元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜
 仕事の休みだった10月最後の日曜日。
 はたらくくるま好きな息子を連れて、図書館にやってきた。

 というのも、保育園で息子はしきりに子供向けの『はたらくくるまずかん』をじっと見ていると聞いたからだ。
 息子の“好き”の芽はつぶさずに、育ててあげたい。
 ダメな人間かもしれないけれど、母親として、息子の気持ちは大事にしてあげたいと思う。

 中高生の頃は、ここでよく勉強したななどと思い出す。
そんな私にとっては懐かしい図書館だが、息子は初めてだ。ぴくりとも動かない息子を仕方なく抱き抱え、絵本のコーナーへを足を向けた。

 日曜の午前中だからか、絵本コーナーに他に人はいない。靴を脱がせてやると、息子はそこに置かれた本たちの方にそっと歩み寄ってゆく。
 私も靴を脱いでいると、息子はすでに何かの本を床に広げて、その前に座りぺらぺらとページをめくっていた。

「ポンプ車、あったー!」

 その大声に、思わず「しー!」と指を口の前で立て、慌てて息子の方へ駆け寄った。息子が見ていたのは、案の定『はたらくくるまずかん』。

 どこから見つけてきたのだろう。子供の“好き”は恐ろしい。
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