パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
 言葉を、遮られてしまった。
 けれど、元旦那の言うとおりだった。

 実際、あのメッセージを見た時、彼も前に進んでいるんだと思った。
 彼の中で、彼自身が何かを消化したのだと思った。

 なのに、私は全く前にすすめていない。
 そんな自分が嫌で、前に進みたいと思ったのだ。

 私がしていることは、言い訳でしかない。

 私は結局、何も言えない未熟な人間。
 そう思えて仕方なかった。
 泣きたくなんてないのに、目頭が熱くなる。

 私は結局、自分の弱さが嫌で、泣いて逃げようとしてるだけだ。
 だったら強くありたい。
 なのに、涙は止まってくれそうにない。

 どうしたらいいの?
 私、この人のことはもう好きじゃない。
 けれど、許した方がいい?
 私は心の狭い人間なの?

 考えれば考えるほど涙が溢れてくる。
 泣けば泣くほど、自分の弱さが露呈しているようで、また涙がこみ上げる。
 悪循環だ。
< 154 / 249 >

この作品をシェア

pagetop