元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜
 泣いていたはずなのに、いつの間にか眠ってしまったらしい。はっと目が覚め、隣を見ると、颯麻がすーすーと寝息を立てていた。

 あどけない寝顔を見ていると、もうなにもかも投げ出して、私も颯麻くらいの子供に戻れればいいのに、なんて思ってしまう。

 ため息をこぼしながら、ごろりと寝返りを打ち、天井を見上げた。

 この先、元旦那がどう言ってくるのか、いつ来るのか、分からない。けれど、次に元旦那が訪ねてきた時には、自分で対処できるようにしないと。

「はぁーあ」

 ため息をつくのはこれで最後にしようと、大きなため息を吐き出した。
 反動で大きく息を吸い込み、噎せてしまった。

 ――あれ、なんだか焦げ臭い……?

 鼻をくんくんとさせる。
 ツンとしたような、何かが燃える匂いを感じた。

 ――いや、まさかね。

 思いながら、部屋に颯麻を残し、そうっと深夜の階段を下りてゆく。
 感じるのは、妙な胸騒ぎ。

 何もない、何もないと思うのに、降りていくたびに匂いが強くなっていく。
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