パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
 SUVは、我が家の前で停まる。
 エンジン音が止まり、運転席の扉が開いて。

 降りてきた人物を見た瞬間に、私の涙腺は崩壊した。

「大輝……っ!」

「梓桜っ!」

 どうしてだろう。
 涙が止まらない。

 この子の前では、泣くまいと思っていたのに。
 そんなのも関係ないほど、涙が止まらなくなった。

 迷って怖くて、押し寄せてくるものを全て飲み込んでいたけれど、それが全部、胸の奥から溢れて逆流してきてしまったよう。

 大輝はこちらに駆け寄り、颯麻ごとぎゅっと抱きしめてくれる。

「梓桜……大丈夫じゃないときは、泣いていいんだからな」

「うん……」

 それは、いつか私が大輝にかけた言葉。
 けれど、それは私に安心感と居場所をくれる。

「ママー……?」

 颯麻が私の顔を見て、不安そうに顔を歪ませる。

「颯麻、ごめん。でも、今は泣かせてね……」

 私は大輝の胸に顔をうずめて、赤ん坊のように号泣してしまった。
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