元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜

23 いつでも私のヒーローは

「何か食ったか? 落ち込んでてもな、食わないと元気でないからな」

 ひとしきり泣いて、顔を上げた頃。
 大輝はそう言って、どこかで買ってきてくれたのだろうレジ袋を私に差し出した。
 菓子パンとジュースが入っている。

「僕、ジュース!」

 一緒に袋の中を覗いていた颯麻が、一番にそれを手に取る。

「パンにしたら? おトイレ行きたくなっちゃうかも……」

「あー失念! くっそ、颯麻くんオムツのサイズ聞いときゃよかった!」

 大輝はわざとらしくお道化て言った。それで、私は笑ってしまった。

 大輝にスマホを借りて、職場に連絡をする。
 保育園にも連絡を入れると、良ければ置いてある着替えとオムツで、シャワーまで浴びせてくれるとのことだった。

「とりあえず、俺の車乗って。預かってくれるなら、颯麻くん連れていこう。その方が梓桜も動けるでしょ?」

 大輝はそう言うと、さっさと運転席に乗り込む。

「あー、ちょっと待って! おばさんにお礼言ってくる!」

 私はお世話になったおばさんに断りを入れて、大輝と共に颯麻の保育園に向かった。
< 180 / 249 >

この作品をシェア

pagetop