元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜

24 無くしたものを整理して

「腹減ったー」

 そういう大輝と一緒にコンビニに行き、遅い昼食を済ませた。
 なにも喉を通らないと思っていたのに、大輝と一緒だと食べられるから不思議だ。

 それから、おばさんに聞いた病院へ面会へ行く。
 母も父も思ったよりも元気だ。
 父は家の様子が気になって仕方ないようだったが、明日きちんと退院してからにしようと、母となだめたほどだ。

「大輝くん、本当にありがとう」

 改めて、父が言う。
 母も、大輝に合わせて深く頭を下げていた。

「そんな、頭を上げてくださいよ。俺は、救助隊としての使命を全うしただけですから」

 それでも、あの時、あのオレンジの姿に助けられたのは事実だ。私も一緒になって頭を下げると、「梓桜まで!」と大輝はケラケラ笑った。

「家のこともね、大輝がいろいろしてくれた。けっこう家の中匂いがすごくてさ、でも焼けちゃったところに応急処置してくれたり、本当助かったから。だから、本当にありがとう……」

 私の気持ちを、そっと支えてくれてありがとう。泣きたいときに、思いっきり泣かせてくれてありがとう。大輝がいなかったら、私は――。

 また泣きそうになり、慌てて笑顔を作った。

 明日、どうなるかも分からないのに、笑えている自分が不思議だ。これも、全部、大輝のおかげ。

「あー、あと、家のことなんですけど」

 大輝はこちらをみて、それから父母を見て。

「すぐにどこか住む家探さないとって思ってらっしゃると思うんですけど、よろしければうちに来ませんか?」
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