元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜
 一旦実家に戻ってもらい、まだ異臭のする家の中に入った。途中で大輝がマスクを買ってくれたから、今朝よりはマシではある。

 とりあえずの生活に必要なものを、取り出していく。二階は床が抜けるかもしれないからと、大輝が行ってくれた。

 使えそうなもの、使えなさそうなもの。
 選別しているうちに、あっという間に日が暮れてゆく。

「今日はここまでだなー」

 そう大輝に言われ、家を出た。
 颯麻のお迎えにも、行かなくてはならない。

 鞄や財布、燃え残った通帳。
 生活をしていくのに必要なものは、一通り取り出せたと思う。

 全部、大輝のおかげだ。

「大輝、本当にありがとう――」

 夕日に照らされた大輝の優しい横顔に、私はそっと呟いた。
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