元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜
 そうしてやってきた市民祭り。
 消防署が参加しているのは、秋の火災予防運動の一環らしい。

 乗れるというミニポンプ車だけでなく、水槽付きのポンプ車や災害救助車も停まっていて、それを見ただけで息子のテンションはだだ上がりだ。

「わー、キャー!」

 抱っこした私の腕の中で、息子は奇声を発した。

 けれど、一番の目玉はやはりミニポンプ車への乗車体験と記念撮影らしい。たくさんの子供たちが、その列に並んでいる。

颯麻(そうま)も並ぼうか?」

「ポンプ車、乗るー!」

 息子はそう言って、たたっとミニポンプ車に走っていく。

「違うー! 並ぶんだよーっ!」

 私はへとへとになりながら、何とか息子を捕まえて列の最後尾に並んだ。

 まさかこの後、元カレとの運命の再会が待っているなんて思わずに――。
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