元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜

25 少しでもお返ししたくて

 家に帰った大輝は、さっそく欠伸をこぼす。

「大輝、疲れてる?」

「ん、わり……」

 言いながら、何故かガサゴソと玄関の靴箱を漁る。

「昨日当直の深夜出動、そーいや仮眠とってねーって今気付いた」

 私は颯麻を抱っこしたまま、そんな大輝の背中を見つめた。

「ごめん……気が利かないね」

 こんなに、必死に私のためにしてくれている。
 そんな大輝に、今、私がしてあげられることは何があるのだろうか。

「ぜーんぜん! 疲れてんのはお互い様だろ? ……あ、あった!」

 不意に大輝が振り返り、箱をこちらに差し出す。
 蓋を開いてくれた大輝。
 その中に入っていたのは、赤色の小さな靴だった。
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