元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜
 大輝の家に常備されていたカレールーは甘口ばかり。
 これなら颯麻でも食べれそうだからと、そのまま作らせてもらうことにしたのだ。

「カレーだけどね」

 言えば、「カレー、好きー!」と颯麻。
「梓桜が作ってくれるもんなら何でも嬉しいの」と、大輝。

 お皿に盛り付け、ダイニングに運ぶ。
 サンルームの床に寝そべってブーンとミニカーを転がす颯麻と、それを見ながらソファに腰かけ雑誌を読んでいる大輝。

 ちょっとはお返しできたかな。

 今の私にできる精一杯が、これしかないのは情けないけれど。

「ご飯できたよー」

 その声に反応して顔を上げた大輝が、笑顔を見せてくれたから。
 私はそれだけで、彼に笑顔を返すことができた。
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