元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜
 病院へ行き、父母の退院手続きをする。
 保険証もあの日に場所を覚えていたから、すぐに持ってくることができたのは幸いだ。

「颯麻くんはどうしてるの? 梓桜は仕事は?」

 矢継ぎ早に聞いてくる母と、心配そうにこちらを見つめる父。
 私は火事の原因と、颯麻は保育園に預けていること、仕事は休んでいることを伝えた。

 役所などを巡って諸々の手続きをし、お昼ご飯にするころには昼を過ぎていた。
 父も母もはっきりとしており、入った定食屋でそれぞれちゃんとご飯を食べる元気ぶりだ。

「家に帰るのか、なんだか不安だなあ」

「それよりも住まいの心配よ。やっぱり大輝くんにお世話になるしかないのかしら……?」

 先ほど行った手続きの中で、公営住宅には入れないと言われてしまったのだ。

「大輝くんはどうしてる? 連絡とれるの?」

「大輝は家の片づけしてくれてる」

 私が言うと、父は驚いた顔をして。

「それを先に言いなさい! 私たちも早く戻ろう」

 そう言って、さっさと定食屋を後にした。
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