元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜

26 新しい生活と新たな誓い

 佐岡家にお世話になりながらの、塩沢家の再建が始まった。

 塩沢家はほどなくして解体工事を始めた。
 私も仕事に復帰し、颯麻も普通の通園に戻る。

 初期費用はかさんでしまったけれど、家財保険である程度は保証されるとのことで、父母はそんなに金銭的なダメージは受けていないようだ。

 各所への手続きや挨拶は母が済ませ、父も再び職場復帰。貸与品のスマホとパソコンを駆使して、仕事の傍ら自宅の設計図まですでに描き始めていた。

 3交代制の仕事の大輝は、平日の昼間も家にいることが多かった。

「今日は大輝くんがお布団干してくれたの」

「お父さんのベッド、新しく買ったんだけど、大輝くんが設置してくれたのよ」

 仕事から帰ると、大輝が家に居る日は毎日、母がそんなふうに大輝の話をしてくれた。
 父はリビングの隅に、大輝に断ってそこに椅子と小さな机を置いていた。
 父の小さな仕事スペースである。

 颯麻を連れて仕事から帰ってくると、大輝は母が洗濯物を畳むのを手伝っていたり、キッチンで夕飯の支度を手伝ったりしていた。

「いつもありがとうねえ」

「何ならずっと住んでてもらってもいいっすよ!」

 そう言う母に、大輝はいつも、冗談交じりにこう返していた。
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