パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
 サンルームは大輝のお気に入りの場所らしい。
 よくソファに座っているし、リビングを片付けた時も自分の読む雑誌などはそこに集めていた。
 なぜか颯麻もサンルームにいることが多かった。
 だから、必然的に大輝は颯麻ともよく遊んでくれた。

 私と颯麻は二階の元ご両親の寝室、大輝は高校生のころまで使っていた自分の部屋で寝ている。
 一緒に住み始めてから2週間経った今は、颯麻もその家の間取りをしっかりと覚え、寝る前になれば自然に二階に上がるようになっていた。

 そんな風に、佐岡家になじんでいく塩沢家。まるで塩沢家の中に大輝が元々いたような、そんな明るい空気が佐岡家には広がっていた。

「大輝、いい?」

 私はある夜、颯麻を寝かせた後に大輝の部屋を訪れた。
 大輝の部屋に入るのは、これが二回目だ。
 一度目は、まだ高校生の時。恋人同士だったときだった。

 今の大輝の部屋は、ダンベルやハンドグリップが床に転がっていて、棚には消防士さんらしい分厚いグローブや懐中電灯などが並べられていた。

 大輝は床に散らばるそれらをぱぱっと部屋の隅に寄せると、「どうぞ」と私を部屋内に招き入れてくれた。
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