元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜
「いいの。俺がしたくてしてること」

「でも大輝、お母さんたちが散歩とか行ってる間に、仏壇の前で手を合わせたりしてるでしょ? ご両親との思い出があるこの家に、私たちが大輝の大切な思い出を邪魔してたりしないかな、とか、家族のにぎやかさとか、大輝には本当は辛いんじゃないかな、とか……」

 言いながら、先ほどまで笑顔だった大輝の顔が険しくなる。そして。

「別に俺は献身的なボランティアってつもりで梓桜たちをここに泊めてるわけじゃない」

「へ?」

 聞き返す間に、大輝は身をこちらに乗り出して。

「梓桜と付き合いたいって下心もある。分かれ」

 肩がピクリと震え、思わず背をのけ反らせらせた。すると大輝はすぐに元の位置に戻る。

「『しばらく時間が欲しい』って言われてたのにな。急いて悪い」

 そう言って、私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
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