パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
 寝室に戻り、颯麻の隣に寝転ぶ。
 その寝顔を見つめながら、先ほど大輝に言われたことを頭の中で復唱した。

『下心もある。分かれ』

「下心……」

 小さく呟き、はあ、とため息をこぼした。
 下心だとしても、それ以上に尽くしてくれている。

『手放したくない』
『アタックするから』
『好き』

 けれど、下心だと言われてもなお、大輝の私たち家族への行動は、すべて〝お日さまみたいな〟優しさや温かさに、私の中で還元されていく。だから余計に、罪悪感が募る。

 それでも、今は大輝の優しさと〝下心〟に甘えるしかない。そんな自分が、情けなかった。
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