元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜
「大輝にね、甘えっぱなしだなあって思ったから」

「それはいいって言ったろ。俺がしたくてしてることだって」

「でも、私は良くないの」

 大輝みたいに、強くなりたいから。
 もう、一人で迷うような、弱い人間でいたくないから。

「私ね、本当は実家出れるように、物件探してたの。でね、火事があって中断してたんだけど、やっぱりちゃんと物件探そうって思って」

 大輝は「だったらここに住めばいいじゃねーか」と、小さく呟く。
 でも。

「私ね、一人でも胸張って生きて行けるようになりたいの。それが、大輝の隣に並べる、ふさわしい女だと思うから」

 大輝の目をじっと見つめて。
 思いが伝わるように、言葉に込めた。

 大輝はしばらく目を見開き、二、三度瞬きをしてから「なあ」と、口を開く。

「それは、俺のこと好きだって、受け取っていいの?」

 真っ直ぐに見つめた先。
 大輝の瞳の中に、私が映っている。

「うん、……好き。大輝のこと、好きだよ」

 ずっと好きだった。
 どれだけ恋をしても、胸の奥で、忘れられなかった初恋の人。

 名前の通りに大きく輝く、太陽みたいな爽やかな人。それが、大輝だ。

 心臓がうるさい。
 けれど、真剣さを伝えたいから、目線はそらさない。

 じっと見つめていると、徐々に大輝は頬をほんのり染めてゆく。
 つられて、私もだんだんと顔が火照っていく。

 静かな夜に、ただ見つめ合う。
 面映ゆくなった空気が漂って。

「……あのさ」

 沈黙を破ったのは、大輝だった。
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