元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜
「なぁ、梓桜はー?」

 大輝が笑いながら、私に促す。だから。

「が、頑張ってね!」

 恥ずかしさを乗り超えて、できるだけ大声でエールを送った。

「めっちゃやる気出た! サンキュ」

 大輝との電話はそれで切れてしまった。けれど、大輝なら大丈夫だと、そう思えた。

 ◇

 完全鎮火のニュースが流れたのは、それから5時間後のことだった。

「だーち、頑張った?」

 颯麻に訊かれ、「すんごく頑張ったと思うよ」と答える。

 その夜、「頑張った、俺」のスタンプが送られてきた。もちろん、魚みたいな龍みたいな、何だか良く分からない生物のキャラクターのものだ。

 当番の大輝は、明日の朝、帰ってくる。
 その時に、なにかしてあげられたら――。

 そう思いながら、私は眠りについた。
< 221 / 249 >

この作品をシェア

pagetop