元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜
 翌朝、私はキッチンに立っていた。コトコト煮えるお鍋には、大輝の大好きな甘口カレーが入っている。

 午前8時半。もうすぐ大輝が帰ってくる。

 今日は祝日なので、颯麻はすっかりお休みモード。ご飯を少しだけ食べた後、サンルームでごろごろしながらミニカーで遊んでいる。

「いいにおーい」

 時折、そんな声を上げながら。

 がちゃり、と玄関の開く音がする。

「だーち!」

 一番に反応したのは颯麻だ。手をリビングの扉のドアノブに伸ばし、ゆっくり開けると玄関に走ってゆく。

 私も慌てて火を止め、玄関へ走る。一刻も早く、大輝に会いたい。

「おかーり!」

 颯麻の声が聞こえて、負けた、と思った。

 私が玄関につくと、大輝はまだ靴を履いたまま、「ただいまー」としゃがんで颯麻の頭を撫でていた。

 いつもの、太陽みたいな笑顔を浮かべて。
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