パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
 やがてカレーの鍋は中身がなくなり、大輝も颯麻もふー、とお腹をさする。
 私は颯麻の口の周りを拭きながら、「よくこんなに食べたね」と颯麻のお腹をさすった。

「梓桜のカレー、美味いもんなあ」

 大輝がそう言って、颯麻が「うん」と言う。

「市販のルーですけど。そこにあったやつですけど!」

 言うけれど、「でも梓桜の愛情が入ってるから美味いんだ」と大輝が茶化す。

「もー」

 私はまた真っ赤になってしまって、顔を隠すように大輝の肩をペチンと叩いた。

 その時、不意にリビングの方から視線を感じた。
 そうだ、お父さんとお母さんがいるんだった!

 ちらりとそちらを向くと、案の定二人と目が合う。

「ねえ、二人って――」

 母が言いかけると、大輝はしゃっと背筋を正す。それから、隣に立ったままの私の腰を、ぐっと自分に抱き寄せて。

「梓桜さんと、お付き合いさせていただいてもよろしいでしょうか!」

 ちらりと見下ろした大輝は、真剣な顔で両親を真っ直ぐに見ていた。
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