パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
◇
「梓桜さんと、お付き合いさせていただいてもよろしいでしょうか!」
あの日、そう言った大輝に対し、母は「もちろんよ」と即答した。父は「梓桜はいいのか?」と私に答えを委ねた。
「私もね、大輝とお付き合いしたいって思ってる」
「もちろん、未来のことも颯麻くんのことも考えています。だから、どうか――」
私が言うと間髪入れずに大輝がそう言って、父の目をまっすぐに見る。
「いや、大輝くんは私の命の恩人だからね。反対しようだなんてこれっぽっちも思っていないよ」
父がそう言って笑った。
「ママ、なーに?」
颯麻がこちらを見上げる。思わずキョトンとしてしまった。こんな幼い我が子でも、こんなことを訊かれるのは恥ずかしい。
「俺は梓桜が好きで、梓桜も俺が好きだって」
えへへと照れ笑いしか浮かべるしかできない私の代わりに、大輝が答えてくれた。
「ぼくもー! ママ、だーち、ちゅき!」
颯麻が満面の笑みを浮かべ、カレーだらけの手で私のエプロンを握ってくる。
「あーもう! 先に手洗うよ!」
私が言えば、それで大輝も母も父も笑う。
佐岡家に、ほんわかとした空気が広がる。
家族ごと、まるっと大切にしてくれる大輝。だから塩沢家はみんな、大輝が大好きなんだよ。
『恋人』
私は頼もしく愛しい家族の人気者との、そんな新たな関係に、胸が温かくなっていくのを感じた。
「梓桜さんと、お付き合いさせていただいてもよろしいでしょうか!」
あの日、そう言った大輝に対し、母は「もちろんよ」と即答した。父は「梓桜はいいのか?」と私に答えを委ねた。
「私もね、大輝とお付き合いしたいって思ってる」
「もちろん、未来のことも颯麻くんのことも考えています。だから、どうか――」
私が言うと間髪入れずに大輝がそう言って、父の目をまっすぐに見る。
「いや、大輝くんは私の命の恩人だからね。反対しようだなんてこれっぽっちも思っていないよ」
父がそう言って笑った。
「ママ、なーに?」
颯麻がこちらを見上げる。思わずキョトンとしてしまった。こんな幼い我が子でも、こんなことを訊かれるのは恥ずかしい。
「俺は梓桜が好きで、梓桜も俺が好きだって」
えへへと照れ笑いしか浮かべるしかできない私の代わりに、大輝が答えてくれた。
「ぼくもー! ママ、だーち、ちゅき!」
颯麻が満面の笑みを浮かべ、カレーだらけの手で私のエプロンを握ってくる。
「あーもう! 先に手洗うよ!」
私が言えば、それで大輝も母も父も笑う。
佐岡家に、ほんわかとした空気が広がる。
家族ごと、まるっと大切にしてくれる大輝。だから塩沢家はみんな、大輝が大好きなんだよ。
『恋人』
私は頼もしく愛しい家族の人気者との、そんな新たな関係に、胸が温かくなっていくのを感じた。