パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
「なんなら、颯麻くんはうちにお泊りしてってもいいのよ?」

 母が意味深な言い方をするから、私の顔は真っ赤になる。

「もう、そんな大丈夫だから! ほら、大輝、颯麻、帰ろう!」

 慌てて言うと、大輝は「何かあったら駆け付けるんで、いつでも言ってくださいね!」と爽やかに言う。

 けれど、颯麻は。

「ママー、だーちのお家?」

「そう、私たちは大輝のお家に住むの。ここは、じいじとばあばのお家だからね」

「ないよー。ぼく、新しいお家、ちゅきー」

 そう言って、床に転がったまま動こうとしない。

「じゃあ、今日はここにお泊りする?」

 母がニヤリと笑って、寝転んだ颯麻の隣にしゃがんだ。
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