パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
 キスの合間にする、互いの息遣いしか聞こえない。

 家族のいない、二人だけの空間。深くなるキスは、徐々に互いを求めあう。

「梓桜……」

 息継ぎの合間に名を呼ばれ、全身が疼く。けれど、次の瞬間、はっと大輝が身体を離した。

「大輝……?」

「ごめん、止まらなくなりそうだった。暑いよな、っつーか俺汗臭いよな」

 湿度の高い7月は、夕方とはいえまだ暑い。身体が熱いのは、物理的な暑さのせいでもあったらしい。

「とりあえず、部屋に上がろっか」

 急に照れくさくなって俯き、大輝に告げる。

「お、おうそうだな!」

 大輝もそう言って、とりあえず部屋に入る。
 大輝はクーラーのスイッチを入れると、そのまま「着替え取ってくる」と二階に上がって行った。
< 235 / 249 >

この作品をシェア

pagetop