元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜

【番外編】ハジメマシテ、二人きりの夜

 塩沢家が竣工し、引っ越しを終えた今日。颯麻を塩沢家で預かってくれるというから、大輝は梓桜と二人で帰宅した。

 夏の暑さも忘れ、玄関でキスに興じ、はっとしてシャワーを浴びて着替え、馴染みの居酒屋で夕飯を摂って。

 梓桜と二人で歩いて帰宅しながらも、大輝は襲いかかりたい気持ちを必死に抑えていた。

 そんな大輝の気持ちなど知らない梓桜は、家につき、先に玄関を上がった大輝の背中にふふっと笑う。

「どーした?」

 気持ちがバレたのか。恥ずかしすぎるだろ。

 大輝は思いながら、恐る恐る振り返る。
 けれど、そこにいたのは、こちらをじっと見つめてただ幸せそうに顔を綻ばせる、愛しい彼女。

「ううん、ただ何となく、幸せだなーと思いまして」

 その顔に、紡がれる言葉に、愛しさが溢れ出す。

 大好きな人が、隣りにいて、幸せだと言ってくれる。これを嬉しいと思わない人類はいるのだろうか。

「俺も幸せー」

 頬が勝手にニヤける。堪らなくなり、大輝は梓桜に触れるだけのキスを落とした。

 そのまま奪ってしまいたい衝動に駆られながら、唇を離す。目の前の彼女の頬は、ほんのりと染まり、その瞳はトロンとしていた。

 こんな顔されたら、抗っても抗いきれねーだろ。

「あー、もうダメ。待てねーや」

 大輝は梓桜の背と膝下に手を差し込み、そのまま抱き上げ自室へと誘った。
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