パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
 やっべえ、可愛い。

 大輝は梓桜を抱えて自室のベッドまで運ぶと、そっと彼女を下ろした。とろんと蕩けたような顔、まだほんのりお酒の残る赤い頬。

 全部が、すっげえ可愛い。

 堪らず口づけると、梓桜は目を閉じて応じてくれる。はやる気持ちを抑え、何度もついばみ、彼女の唇を味わった。

 こんな幸せ、他にあるわけがない。

 高校時代から、焦がれて焦がれて仕方がなかった彼女と二人きり。
 大輝はそんな夢のような今が現実なのだと確かめるように、彼女の背に両腕を回し、優しく抱きしめる。

 身体が熱い気がするのは、この初夏の気温のせいなのか、それとも――。

「大輝……」

 切なげな声で名を呼ばれ、前者じゃないと自覚する。その瞬間、野生の衝動に支配された。

「好きだ」

 口づけとともに彼女の口内を舌で弄る。上顎も下顎も、全部味わいたい。舌を回し続ければ、彼女も自分の舌をそこに絡めてきた。

「あう、ふ……」

 彼女の唇から漏れる甘い声に、早急に身体が反応してしまう。大事にしたいと思っているのに、身体が彼女を欲して仕方ない。

「なあ、いい?」

 暗い部屋の中、月明かりに照らされた彼女は切なげな顔で、こくりと頷いた。

 瞬間、もう我慢しなくていいのだと彼女に噛みつくようなキスを落とした。唇だけじゃない。舌を這わせながら、顔中にいくつものキスを落とした。
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