元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜
 本当は、嫉妬どころの話じゃない。なんなら、梓桜との結婚生活、全部返せ、自分によこせと思うくらいだ。
 けれど、なぜか梓桜は嬉しそうに頬を弛めた。

「大輝でもそういうふうに思うんだね」

「あたりめーだろ、俺だって男だ」

 梓桜は今まで、何人の男と付き合ってきたのだろう。
 梓桜は今まで、何人と経験してきたのだろう。

 知っても仕方がないことを考えてしまい、勝手に頭が熱くなる。

「そっか、嫉妬かぁ……颯麻に嫉妬……ふふっ」

 へ? という疑問符は何とか飲み込んだ。
 そういうふうに思ってくれている方が、今は都合がいい。
 過去の男に嫉妬していたなんて、格好悪いしみっともない。梓桜の前では、余裕のある大人の男でいたい。

「でも、今は俺が独り占めだかんな」
「うん、独り占めして」

 恥ずかしい胸の内を隠すように言ったのに、素直に反応されたら困る。
 大輝は独占欲に火がついたように、早急に彼女の唇を奪った。

 もう、これ以上したら無理させるよな。

 胸の内ではそう思うのに、彼女が薄く唇を開いて応えてくれるから、大輝は堪えられなくなる。
 彼女の上に覆いかぶさり、素肌をぴたりと密着させて、彼女の体温を味わった。
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