パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
 梓桜が幸せなら、それでいい。それでいい、けれど――。

 シングルマザーだった。
 しかも、旦那が亡くなったというのは自分の勘違いで、不倫されて離婚した、という梓桜。

 はらわたが煮えくり返るかと思った。

 なんで俺はあの時、梓桜との連絡を絶ってしまったのだろう。

 後悔しても仕方ない。
 歩んできた過去は、どんなに辛く悲しいものでも、変えることはできない。
 けれど、未来は変えられる。
 だから、彼女の未来を支えるのは、その笑顔を守るのは、これから先は自分でありたい。

 そう思って、アタックを始めた矢先。
 いろいろなことが起こって、色々なことを乗り越えて。
 下心丸出して、彼女のことを支えたいってエゴに突き動かされて過ごしてきた中で。

 一人で背負っていたものを、下ろしてあげられなかった後悔と、自分のことを〝男として〟好きだと言ってくれた彼女に、愛しさと申し訳なさが募った。
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