パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
 やがて、16時ギリギリまで消防ポンプ車の乗車体験を楽しんだ颯麻(そうま)
 もう一周しようと列の最後尾に突っ走っていく。
 もちろん、列はもう締め切られていて、最後尾の消防士さんから説明を受けていた。

 慌てて息子を追いかけて、消防士さんに「すみません」と謝る。

「颯麻、もうポンプ車おしまいなの」

「ごめんな、また今度会いに来て」

 抱き上げた息子に、消防士さんも申し訳なさそうに声を掛けてくれる。
 けれど。

「おしまい、ないーーーーーー!」

 息子は腕の中で暴れはじめ、大泣きを始めた。
 はぁ、始まった……。

 なんとなく予想していた。
 けれど、いざイヤイヤされると、私の心も萎えていく。

「すみません、本当に……」

 申し訳なさそうに顔をゆがめる消防士さんにそう言って、その場を離れた。

「颯麻くん、また会おうな~」

 消防士さんは最後までそう言って、手を振ってくれた。
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