パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
「ほらほら、写真撮ってあげて!」

 なぜか大輝に急かされて、スマホを構える。
 大輝の笑顔と、まだ目の赤い息子の笑顔。

「颯麻くんが立派な消防士になったら、この写真出してな!」

「へ?」

 息子を抱っこしたまま、私のスマホを覗き込んだ大輝がそう言った。

「で、『息子が消防士を志したのは、この立派な消防職員のおかげです』って言うのが、梓桜(あずさ)の仕事!」

「何それ!」

 思わず私も笑ってしまうと、大輝もへらへら笑った。

「っていうかごめん、重いでしょ」

 大輝に抱っこされたままだった息子に手を伸ばす。
 息子はすっかり大輝に慣れたようで、そのオレンジの隊服にぎゅっとしがみついていたが。

「ぜーんぜん。むしろ軽いわ。なんなら梓桜も片手で持ち上げられるし」

 突然、身体がふわっと宙に浮いた。
 大輝に、腰を抱き上げられたらしい。
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