元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜
 そのあとは会議室に戻って消防士さんから防災や救命についてのお話を聞く。

「身体が発する、危険なサインは色々あるんです。例えば、いびき。無意識の状態でのいびきは、かなり危険な状態ですね。寝ているんだと思って、発見が遅れるケースも少なくないので――」

 やはり、この見学会は対象年齢が高いのだろう。話の内容は大人の私でもへえ、となってしまうものばかりだった。

 息子が静かにしていてくれたのは幸いだ。おもちゃを持ってきて良かった。

 やがて最後の質問コーナーに差し掛かる。

「消防職員さんの階級って、どういうものがあるんですか?」

「いい質問だ!」

 小学5年生だという少年の質問に、消防職員さんは丁寧に答えていく。その最後で、突然思い出したように「そうだ」と声を上げた。

「我が署には優秀な、最年少で消防司令補になった消防職員もいるんですよ。せっかくだから呼んでみようか」

 と、職員さんはどこかに内線をかける。
 すると、すぐに扉が開き、やってきた人物に目を見張った。

「彼が我が署の有望な若手職員、佐岡大輝です」
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