パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く

 変な感じがする。
 それは、息子の名前を大輝が呼んだからなのか。
 そもそも、私の父以外の男性が、息子の名前を呼んだのなんて初めてかもしれない。

 この子の父親は、一度も息子の名前を呼ばなかった。
 自分が父親だという自覚もなかったのかもしれない。

 ――嫌なこと、思い出した。

「これはー、ポンプ車!」

 私は再びシールに写る消防車両を指差す息子を見ながら、心の中で再びため息をもらした。

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