パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
「救急車ー!」
息子のはしゃぐ声が聞こえる。
消防署見学者の中で、誰よりも大きな声を出している。
私は俯いたまま、必死に涙を堪えていた。
『無神経だった』
大輝はすぐにそう言って謝り、それ以上追求してこない。
私の気持ちを慮ってくれているらしい。
話に触れては来ないけれど、安心できる距離にそっと佇んでいてくれる。
人格者な大輝。
自立できていない、ダメ人間な私。
比べてしまい、自分が惨めになる。
それで、余計に目頭が熱くなる。
「私こそ、ごめん……」
大輝の前では、強い自分でいたかった。
なのに、こんな姿を見せてしまうなんて。
上着の袖で涙を拭い、無理矢理に頬を引き上げた。
それが私にできる、精一杯の強がりだった。
けれど、顔は上げられない。
こんな子供みたいな泣き姿を、大輝に見られたくはない。
息子のはしゃぐ声が聞こえる。
消防署見学者の中で、誰よりも大きな声を出している。
私は俯いたまま、必死に涙を堪えていた。
『無神経だった』
大輝はすぐにそう言って謝り、それ以上追求してこない。
私の気持ちを慮ってくれているらしい。
話に触れては来ないけれど、安心できる距離にそっと佇んでいてくれる。
人格者な大輝。
自立できていない、ダメ人間な私。
比べてしまい、自分が惨めになる。
それで、余計に目頭が熱くなる。
「私こそ、ごめん……」
大輝の前では、強い自分でいたかった。
なのに、こんな姿を見せてしまうなんて。
上着の袖で涙を拭い、無理矢理に頬を引き上げた。
それが私にできる、精一杯の強がりだった。
けれど、顔は上げられない。
こんな子供みたいな泣き姿を、大輝に見られたくはない。