パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
「ママ!」

 ちょうど、橋本さんに手を引かれた息子が帰ってくる。

「はしご車、でかいー! びっくりー!」

 少ない語彙力で、とても楽しかったことを教えてくれる息子に、笑みが漏れる。

「このお兄さんは、はしご車の運転もできるんだよ?」

 橋本さんがそう言って、大輝を指差す。

「すごいねー!」

 言われると、大輝はその場にしゃがんで息子の頭を撫でた。

「颯麻くんも、大きくなって消防隊員になったら、ぜひ機関員として働いてな! そうしたら運転できるから」

「やるー!」

「言ったな! 待ってるからな!」

 大輝はそう言うと、息子に向かって敬礼を切る。
 息子は、嬉しそうに笑って、大輝に敬礼を返した。
< 43 / 249 >

この作品をシェア

pagetop