元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜

1 いらない父親、至らない母親

 離婚を意識したのは2年前。
 息子がこの世に生を受けた、その少し後のことだった。

 息子を妊娠して5か月の時、結婚をした。
 いわゆる授かり婚。職場で出会って、付き合ってから1年くらい経っていた。
 妊娠もしていたし、家庭に入ってほしいという旦那の希望から、仕事は結婚と共に辞めた。

 付き合っている間から、互いの将来のことはたくさん話していた。
 だから、結婚に至ったのも必然的だと思っていたし、それが永遠に続くものだと思っていた。

 けれど、違った。
 息子を出産し、どうしても迎えに来れないというので、一人で産院を退院した。
 まだ猿のような赤子をだっこして、産後のガタガタの身体でタクシーを降り、家の鍵を開け、頭が真っ白になった。

 女性ものの靴がある。
 もちろん、旦那の靴も。
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