元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜

7 緊急事態と救急救命士

 がむしゃらに仕事をこなし、気付けば朝晩は肌を刺すような冷たい空気が街を覆う季節になっていた。

 事務員としての仕事にも慣れ、颯麻をお迎えに行き、帰宅して――というルーティンにも慣れた頃。
 私は職場の皆に、忘年会兼歓迎会に誘われた。

「ほら、塩沢さんはまだ幼いお子さんがいるから、どうかなって思ってたんだけれど。忘年会も兼ねてだったら、参加しやすいかなって思って」

 本当は断ろうと思っていた。
 けれど、母が「職場の付き合いも大切よ」と、背中を押してくれた。

「大丈夫、その日は颯麻くんのお迎えも私が行くから!」

 颯麻は母と二人でも、きっと大丈夫だろう。

 すっかり実家暮らしにも慣れ、颯麻は自らお母さんに絵本を読んでとせがむこともあるほどだ。
 その度に申し訳ないと思うけれど、「いいのよ~、孫に好かれてるのは嬉しいから」と、心から嬉しそうな母の手前、ダメとは言えなかった。

「本当に、申し訳ないです……」

「それ、実の母に使う言葉じゃないわよ!」

 母があははと笑って、「颯麻のことはその日くらい任せなさい!」と胸を叩く。

 申し訳なさでいっぱいになりながら、私は忘年会に参加することになった。
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