パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
玄関の正面にある寝室の扉の向こうから聞こえる、ベッドの軋む音。
気持ちよさそうに喘ぐ、女性の声。
壁の向こうの光景を想像し、全身がぞわっとした。
けれど、どうしていいのか分からない。その場に立ち竦んでいると、さっきまですやすやと寝ていた息子が目を覚ました。
息子の泣き声に、扉の向こうの音は全て止み。
代わりに、がらりと開いた扉から、旦那が顔だけこちらに出したのだ。
「あれ、お前帰ってくるの明日じゃなかったっけ?」
何も言えなくて、泣き出した息子にも申し訳なくて、勝手に涙が溢れた。
肩掛けにしていた入院の荷物は肩から外れて、玄関の床にパタリと落ちた。
ただ、息子の泣き声だけが玄関に響く。
しばらくすると、小柄な女性が面倒くさそうに寝室から出てきた。
垂れた前髪を大きく掻き上げるのは、かつて仕事仲間だった後輩。
「嘘……」
彼女は嫌悪感いっぱいにこちらを睨みながら、一言も発さずに靴をさっと履き、そのまま玄関から出て行った。
気持ちよさそうに喘ぐ、女性の声。
壁の向こうの光景を想像し、全身がぞわっとした。
けれど、どうしていいのか分からない。その場に立ち竦んでいると、さっきまですやすやと寝ていた息子が目を覚ました。
息子の泣き声に、扉の向こうの音は全て止み。
代わりに、がらりと開いた扉から、旦那が顔だけこちらに出したのだ。
「あれ、お前帰ってくるの明日じゃなかったっけ?」
何も言えなくて、泣き出した息子にも申し訳なくて、勝手に涙が溢れた。
肩掛けにしていた入院の荷物は肩から外れて、玄関の床にパタリと落ちた。
ただ、息子の泣き声だけが玄関に響く。
しばらくすると、小柄な女性が面倒くさそうに寝室から出てきた。
垂れた前髪を大きく掻き上げるのは、かつて仕事仲間だった後輩。
「嘘……」
彼女は嫌悪感いっぱいにこちらを睨みながら、一言も発さずに靴をさっと履き、そのまま玄関から出て行った。