パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
その日の夜、颯麻が寝静まった後に母に呼ばれて、ダイニングに座った。
「病室で、何か言いかけてたでしょ?」
母は敏い。
「うん……」
掛けるべき言葉を、私は言う資格を持っていない。
今はまだ、母に甘えているだけのダメな大人だから。
「どうしたの? お母さんなら大丈夫よ」
「でも……」
口を開いた私の顔を、母はじっと覗く。
耐えられなくなって、ふいっと視線をそらせてしまった。
膝の上で、拳を握りしめて。
「こんな娘でごめんね。お父さんのことも……、お母さんに颯麻のこと頼まなければもっと早く気付けたんじゃないか、とか、私がお母さんに頼ってばかりだから……ダメな人間だなって……。いつまで親のスネかじって生きてるんだろうね」
「なんだ、そんなこと」
お母さんが視界の端で、少しだけ動いた気がした。
「いいのよ、甘えなさいよ娘なんだから。起こってしまったことは仕方ない。大丈夫よ、お父さんだって生きてたんだから」
一瞬だけ顔を上げる。その先で、母は優しく微笑んでいた。
「病室で、何か言いかけてたでしょ?」
母は敏い。
「うん……」
掛けるべき言葉を、私は言う資格を持っていない。
今はまだ、母に甘えているだけのダメな大人だから。
「どうしたの? お母さんなら大丈夫よ」
「でも……」
口を開いた私の顔を、母はじっと覗く。
耐えられなくなって、ふいっと視線をそらせてしまった。
膝の上で、拳を握りしめて。
「こんな娘でごめんね。お父さんのことも……、お母さんに颯麻のこと頼まなければもっと早く気付けたんじゃないか、とか、私がお母さんに頼ってばかりだから……ダメな人間だなって……。いつまで親のスネかじって生きてるんだろうね」
「なんだ、そんなこと」
お母さんが視界の端で、少しだけ動いた気がした。
「いいのよ、甘えなさいよ娘なんだから。起こってしまったことは仕方ない。大丈夫よ、お父さんだって生きてたんだから」
一瞬だけ顔を上げる。その先で、母は優しく微笑んでいた。