元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜
「ポンプ車、お水ジャー!」

 なんて、数日前までは楽しみにしていた息子。
 けれど、その土曜日の午後、颯麻はなかなか昼寝から起きなかった。

「颯麻、もう夕方だから起きるよー?」

「んー、まだ、寝るー」

 グダグダするのは珍しいなと思いつつ、色々なことがあって疲れているのかもしれないとも思う。
 けれど、今寝かせ続けて夜寝なくなっては困ると、無理やり息子を起こした。

 それからはいつものように過ごしていたのだけれど。

「颯麻、そろそろ寝るよー」

 時計が夜九時を指す頃、颯麻を布団に誘った。

「あれ……?」

 入浴中に火照った身体が、なぜかまだ熱い。

「お熱かな?」

 今年の冬は、寒い日と温かい日を繰り返している。小さな身体には、それが堪えたのかもしれない。
 私は心なしかいつもより元気のない息子を抱きかかえた。

「体温計、体温計……」

 救急箱から探し当て、お熱を測る。三十八度だ。

「颯麻、お水は、飲める?」

「飲むー」

 そう言う息子は、しっかりとストローでお水を飲む。
 その姿に安心し、微熱だから様子を見ようとそのまま布団に入ろうとした。

「颯麻くん、大丈夫?」

「うん、水分も取れるし微熱だったから」

 心配してくれた母に「おやすみ」と伝え、二階に上がった。
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