パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く

「ああ、ごめん。連絡先は――」

　言いながら、振り返る。
　連絡先は教えたくない。
　また、どこかで会えたらその時に、と思う。

　なのに、大輝は私の声に被せ気味で言う。

「どうしてもだめか？　ほら、おじさんの様子も気になるし、颯麻くんの検査結果も気になるし……」

　父を救急隊として、病院まで運んでくれたのは大輝だ。
　それに、今も颯麻のことを心配してくれている。

　助けてくれた彼に、連絡先を教えないのは不義理だ。
　しぶしぶスマホをポケットから取り出し、連絡先コードを表示する。
　大輝はさっとそれを自分のスマホで読み取った。

　するとすぐに、私のスマホが震える。
　画面を見れば、大輝からスタンプが送られてきていた。