パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
 私のスマホの画面に映るのは、魚みたいな龍みたいな、何だか良く分からない生物のキャラクターが「よろしく」と言っているスタンプ。

「ふふっ、なにこれ」

「俺のお気に入りスタンプ。そんなことより――」

 大輝はスマホに目線を向けていた私のあごを、突然ぐっとすくい上げる。
 彼の大きな手にびっくりした私は、動けなくなってしまう。くりっとした、真剣な丸い瞳が目の前にあった。

「大輝……?」

 名を呼ぶけれど、彼の表情は変わらない。

「俺が梓桜に連絡先教えてたのは、地元友達ってことで役に立てたらって思ってたから。連絡できなかったのは、梓桜にも大切な人がいて、俺なんかがでしゃばっちゃいけないって思ってたから」

「どうしたの、急に――」

「でも、梓桜が旦那と別れた理由聞いて、決めた。俺、梓桜にアタックする」
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