パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
「え……?」

 彼の真剣な瞳に映るのは、キョトンとした私。
 けれど、大輝の言葉に、私の鼓動は急に速度を上げた。
 すると、目の前の大輝の口元が、幾分綻んだ。

「だから、俺のこと、もう一度好きになってほしい。俺はもう、梓桜と離れたくないし、手放したくないから」

 言い終えた大輝に顎が解放される。
 けれど、私はそのまま動けない。

「梓桜のこと、好きってこと」

 大輝はそう付け加えると、私にお日さまみたいな爽やかな笑顔を向ける。

「でも今は、早く颯麻くんのところに戻ってあげて」

「あー……、うん。ありがとう」

 そう言って、車を降りる。
 ドアを閉めようとして、慌てて付け加えた。

「颯麻の検査の結果、連絡するね」

「おう」

 大輝がそう言ったのを聞いて、ドアを閉める。
 車がゆっくりと走りだし、夜の闇に溶けてゆく。

 外の空気は冷たいのに、異様に頬が熱い。
 私は胸の高鳴りを感じながら、今は颯麻のことに集中しなきゃと、慌てて夜間出入口に向かった。
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