元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜

12 みんなへの快気祝い

 息子は三日で退院した。
 脳波検査でも問題はなく、ただの熱性痙攣だろうと診断された。熱は二日目には下がり、食欲も回復。髄膜炎などへの移行も心配ないとのことだった。

 発熱の原因は季節性のインフルエンザで、そういえば保育園でもぽつぽつとそういう話題が出ていたことを思い出す。
 足の弱い父にインフルエンザを移せないと、私は帰宅後、二階の寝室にできるだけ息子を隔離した。

 幸いなことに、職場に連絡すると「お子さんのそばにいてあげて!」と上司から優しい返答があった。
 申し訳ないと思いつつ、まだ有給休暇のない私は特別休暇で休ませてもらうことにした。

 部屋にこもりつつも、息子は退院した今日からとても元気いっぱいだ。

「ポンプ車、おぱよー。あ、救急車、おぱよー」

 もう昼過ぎなのにも関わらず、おもちゃのミニカーを擬人化して朝の挨拶をしている。

 そんな息子を横目に見ながら、私は大輝へとメッセージを打っていた。病院まで送ってもらったあの日に、約束したからだ。

[颯麻、本日退院しました。
 脳や髄膜に問題はないけれど、
 高熱の原因は季節性のインフルエンザでした。
 大輝も気をつけてね]

 たったそれだけ。
 けれど、送信ボタンをタップするだけで、脳裏に大輝の笑顔が浮かび、私の胸は甘く疼いた。
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