ビターなフェロモン (短)
「の、飲みたいので……ください」
「どうしても飲みたいなら新しいの買ってくるけど?」
「ううん……大丈夫」
にこっ
わずかに口角をあげると、蓮人くんはしばらく固まった後。
「そ」と短い返事をして、ジュースを机上に戻す。
「何かあったら俺に電話。分かった?」
「う、うん」
友達のいない私のスマホには、皐月くんと蓮人くんの連絡先だけ入っている。
でも、これからバスケするんだよね?
部活中、スマホの着信に気付くのかな?
……あ、そういえば。
朝のバスケを代わってもらったお礼、まだ言ってなかった。
「れ、蓮人くん」
「ん?」
「朝……バスケ、ありがとう」
「……」
バスケありがとうって……。
つくづく緊張しいな自分の性格が嫌になる。
これじゃあ何が言いたいのか蓮人くんに伝わらな、
「桃子がバスケって、想像するだけで面白いし。それに、男バスに女子がヘルプっておかしいだろ。だから気にするな」
「!」