ビターなフェロモン (短)
――色んな視線を受けた後。
私たちは、無事に保健室に到着する。
だけど、なんというか……こういう時に限って、先生っていないんだよね。
「先生いないのか。ベッドは誰も使ってないな。降ろすぞ?」
「は、はい……」
すると真っ白なシーツの上に、私の体は優しく降ろされた。
それだけじゃなく、枕をセットし、布団もかけてくれて……至れり尽くせり。
うぅ……、恥ずかしいな。
「わ、私もう大丈夫だから。体育館に戻って。ね?」
「……」
「蓮人くん……?」
蓮人くんは、寝転ぶ私を見降ろして……ずっと見ていた。私のことを、ずっと。
ん?何かついてる?と聞こうとした、
だけど――
「大丈夫、なんてよく言えるな。桃子の顔、真っ赤だけど?」
「……へ?」
体を起こして、壁に打ち付けてある鏡を見る。
すると、確かに私の顔は真っ赤で……え、なんで?
さっき「お姫様だっこが恥ずかしい」なんて思ったから?
……いや、違う。
この「赤」は――
ドクンッ