ビターなフェロモン (短)

「〜っ!」


まさかの事を言われ、ビックリしちゃって。

顔が少しだけ火照った。

だけど隣にいる皐月くんは、どこか恥ずかしそうな顔をしていて……。

さっきの言葉が、皐月くんの本心だと分かる。


「こら、笑わないの」

「ふふ……ごめんなさい」


皐月くんを「可愛い」、なんて。

そんな風に思う日が来るなんて。


「あの……、皐月くんってさ」

「ん?」


この流れで、聞いてもいいかな。

彼女はいる?付き合ってる人はいる?って。


皐月くんはモテるのに、そんな噂を一切聞かない。

だけど、もしもひっそりいるなら……知りたい。


「皐月くんって今、誰かとつきあ、」


そこまで言った時だった。


「わ!」
「蓮人、大丈夫かよ!?」
「血がでてるよ、保健室!」


階段を降り、そろそろ教室に着くという時。

私のクラスから、大きな声が立て続けに響いた。
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