ビターなフェロモン (短)
「卯佐美さんって、本当に良いポジションだよねぇ」
「本当~、私もイケメンにサンドイッチされたいわ」
「……」
教室の前から動けない……。
入ろうとした瞬間に、こんな言葉を聞いてしまうなんて。
「にしても、あの三人ってどういう関係なんだろうね」
「卯佐美さん、皐月くんとは喋るよね? じゃあ〝そういう事〟なんじゃない?」
「え~、ショックー」
そういう事も何も……何もないのですが……。
と言えたらどんなにいいことか。
あぁ、私に勇気があれば……。
なんてまごまごしているうちに、予鈴のチャイムが鳴る。
わゎ、私ったら何分ドアの前でじっとしてるんだろう。完全に変な人だよっ。
「こんな事なら、皐月くんと一緒に教室に入れば良かった……っ」
教室の前に来て、皐月くんが「一緒に入ろうか?」と言ってくれたけど、大丈夫と断って今に至る。
なんで断っちゃったんだろう、私のバカ……。
「うぅ」と頭を抱えていると、片方の手が急に軽くなる。
驚いて振り向くと、そこには――